「中国圏で今年も春節を迎える」中国人の消費傾向に変化、爆買い陰り

中国圏の春節とは

中国や台湾、また中華圏の国々で2月5日に新しい年(2019年)を迎えました。中国では新年のことを「春節」英語では「チャイニーズニューイヤー」と呼びます。

春節とは中国で言う旧暦の元旦にあたり、中国全土、台湾、また中国人が多く移住しているシンガポールやマレーシアなどは町中で花火や爆竹、獅子舞踊りなどで盛大に盛り上がります。

春節休暇の期間中の過ごし方は、大多数の人たちは、日本と同じように実家に帰省して家族と過ごしたり、親戚と食事をしたりして楽しみます。

Photo by Michael Buillerey on Unsplash

 

中国人観光客の消費減少

中国人観光客へのビザ緩和などで、春節の休暇を日本で過ごす中国人も最近増えています。

そこで期待されるのは、中国人観光客が日本に滞在中どれだけ消費してくれるかです中国人は旅行予算の約半分を買い物に使うという調査結果も出ています。

2015年頃、春節の時期には中国人観光客の「爆買い」が話題になり、その年の新語・流行語大賞にも選ばれました。

爆買いの定番商品と言えば、中国語で「四宝」と呼ばれ主に「炊飯器」、「魔法瓶」、「温水洗浄便座」、「セラミック包丁」などが中国人観光客の間で人気でした。

当時のテレビの映像には、大量の家電製品の箱を持つ中国人観光客や、薬局で買い物カゴ一杯の商品を購入している人々の姿が映し出されていました。

中国では2008年に毒粉ミルク問題や商品の品質問題などもあり、消費者が日本製の高品質で安全な商品を好むようになりました。

そうした背景を後押しする形で、中国国内の消費者に代理で日本の商品を購入する、代理購入ビジネスが急発展していきました。

しかし、今年1月から中国電子商取引法(新EC法)が施行され、海外で購入した商品を転売する人々がこの法律の対象になるため、転売目的の購入が激減しています。

その影響を受けているのが中国国内から買い付けで来る代理購入業者や個人代理者です。彼らは日本の「爆買い市場」を支えてきた立役者たちです。

日本では百貨店、家電量販店、または薬局など、今まで中国からのインバウンドに頼ってきた業界が大きな打撃を受けることになります。

 

モノ消費からコト消費へ

「爆買い」などの恩恵を受けてきた日本の小売業やサービス業は中国での新法律の施行や社会の変化に対応していかなければなりません。

現代社会では大量生産・大量消費の時代は終わり、以前よりモノが売れない時代に突入しています。

価格競争も激化して高性能・高品質の物をどれだけ安く消費者に販売するか、多くの企業がしのぎをけずっています。

中国ではハイアール(中国家電メーカー)が大型白物家電の世界シェアの10.5%を占め、9年連続世界一を達成しました。

出典: 家電 Watch 

新EC法の施行は、外国の製品に頼らず自国の商品や物の品質を上げ、国内の経済成長を促そうとする中国政府の意思表明とも読み取れます。

日本でもこれからは、モノ+コトを中心とした商品を訪日外国人に提供していく必要があります。

例えば、イオン「The Outlets」はアウトレットモールにシネコンやスケートリンクといったアミューズメント施設を加えた新型ショッピングセンターです。

このようなモールに観光客が来ると、買い物だけではなく体験や思い出も作ることができます。イオンでは、今後さらにエンタメ性を備えたモールを地方都市を中心に展開していく予定です。

 

まとめ

  • 中国では春節を迎え、日本に観光に来る旅行者も増える時期。しかし、新EC法の施行でモノの消費が減少。
  • 新EC法の施行は、外国の製品に頼らず自国の商品や物の品質を上げ、国内の経済成長を促そうとする中国政府の思惑がうかがえる。
  • これからは、体験を取り入れたコト消費への切り替えが必要。
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