日本が抱える社会問題と解決策
日本は様々な社会問題を抱えており、その問題を観光と絡めて解決出来ないでしょうか。現在日本はオリンピック開催も迫っており、空前のインバウンドブームに沸いています。
そこで訪日外国人旅行者が持つ消費欲、観光意欲を利用してこれらの問題を解決できないでしょうか。
この記事では日本が直面している4つの社会問題を取り上げつつ、インバウンド観光による問題の解決策を提案していきます。
日本が直面する少子高齢化問題
まず切迫した問題の一つとして考えられているのは人口減少です。日本では出生率の減少、高齢者の人口増加、いわゆる少子高齢化問題です。
少子高齢化が進めば必然的に国内人口が減少し、それに伴い国内消費が減り、日本経済が縮小していきます。
そこで現在国を挙げて行っているのが、観光業促進による訪日外国人の誘致です。外国人観光客が増えることにより国内消費が増え、地域の経済が潤う新しい仕組みができあがります。
大阪観光局によると、2017年に大阪を訪れた訪日外国人は1100万人で消費額は1兆1731億にも上る。また、定住人口一人当たりの年間消費額が約124万、旅行者の消費に換算すると外国人旅行者8人分の計算になる。
出典:超 インバウンド論 / 坪井 泰博, 村山 慶輔
今後は訪日外国人に対し、いかに魅力的で価値のあるサービスを提供していけるかが日本経済のさらなる発展、また日本が抱える社会問題を解決する為の重要なカギになっていくでしょう。
農業体験を提供して人手不足を解消
WWOOF (World Wide Opportunities on Organic Farm)とは国際的なNGOの団体で日本語ではウーフと読み、農業体験を通して、農家と人(農業体験希望者)を結ぶ団体です。
ウーファー(参加者)は一日5~6時間の労働と引き換えに食事と住居をホスト農家から提供されます。
従来日本では高齢化や、若者の田舎から都会へ移住などで慢性的に農家の担い手が不足しています。
しかし最近は、都会の忙しい生活から離れて、地方に移住したいと思っている若者も増えてきた背景もあり、都会から農業を体験しに来る参加者もいます。
また欧米人は健康志向が強く、日本のオーガニック野菜などに興味を持ち参加する人たちもいるようです。
このような、体験を通して両者の国際交流が深まるだけでなく、農家の人手不足の解消になるのではないでしょうか。
狩猟観光で農家の問題解決
いま日本では獣害での被害が農家で働く人々の生活を苦しめています。
2016年の農林水産省の調べでは、野生鳥獣(イノシシ、シカ、サルなど)による農作物被害額は172億円にも上っています。
出典:農林水産省
狩猟ハンターの数も高齢化とともに減っており、解決策が見つからないのが現状です。
「ハンティング・ツーリズム」という言葉は日本では聞きなれませんが、海外ではたくさんの愛好家がいるれっきとしたスポーツです。
そうした、ハンターの中には、自国では飽き足らず海外まで足を延ばしてハンティングを楽しむ人たちもいます。
国の税金を使わずに、ハンティング・ツールズムで外国人客にお金の使ってもらい獣害問題を解決できれば大変効率がいいですね。
ジビエとは狩猟で得た天然の野生動物の食肉を意味する言葉(フランス語)で日本では主にイノシシやシカなどの肉を指します。
これまでは、捕獲した動物は埋設か焼却処分になっていましたが、最近ではそうした動物を地域資源ととらえ有効活用する動きも促進されています。
今後ジビエ肉が広く普及することになれば捕獲者の意欲向上、店での販売、またレストランなどのメニューとして使うことで地域産業の発展にもつながります。
外国人の狩猟ツアー客には、狩猟のあと、近くのジビエ専門の料理店で夕食というプランも考えられますね。
日本の資源を活用『フィッシング・ツーリズム』
日本は、四方八方海に囲まれた島国です。海に面してない県でも、川や湖があり釣りを楽しめます。
そのため、日本人にとって魚釣りは身近にあり、魚を食べることも大好きです。釣具店も多く、どこの店に行っても多種多様な仕掛け、餌、竿などが所狭しと置いてあります。
しかし日本の漁業産業も、農業と同様に後継者不足や、人材不足に悩んでいます。釣り船の維持費やガソリン代も漁師の悩みの種で、廃業などに拍車をかけています。
そこで、外国人客のためのフィッシング環境を整備しツアーの企画、運営などを行う事により漁業産業での新たな収益の作り方も検討できます。
フライフィッシングの発祥の地スコットランドではフィッシング・ツーリズムを世界に発信し多くの富豪層を呼び込み、地域活性化に繋げています。
出典:世界一訪れたい日本のつくりかた / デービット・アトキンソン
日本は多くの社会問題を抱えていますが、インバウンド観光などを利用する事によってこれらの問題を結果につなげる前向きな取り組みができるのではないでしょうか。
まとめ
- 日本が抱える様々な社会問題も観光の力を借りれば解決策が見つかるかもしれない。
- 訪日外国人を巻き込んだ企画やツアーを実現するには、地域の理解、協力、環境の整備も必要。
- 日本に来日する多くの外国人旅行者は滞在中、体験やアクティビティに参加して思い出を作りたいと思っている。その様なニーズを理解して今後の日本の観光業発展を考えていくべき。